今回は「視床(ししょう)」という部位についてまとめます。
視床は脳の深く(中心部)にある、卵の形をした部位です。左右に1つずつ存在します。
視床の機能は以下の通りです。
感覚情報の中継:嗅覚以外の感覚情報は大脳に伝わるまでに視床を経由します
運動の調節:手足の動きがスムーズになるように調整する機能に関わっています
このような機能を持っているため、もし脳卒中などで視床が障害されたら、感覚障害を中心とした症状が出現します。
視床の障害で苦しい症状の1つに「視床痛」というものがあります。これは、病巣(右視床か左視床)と反対の手足に出現する痛みのことです。この痛みは激しく耐えがたい痛みだと言われ、灼熱間、針で刺すような痛みなどと表現されます。そしてやっかいなのは、鎮痛薬が効きにくいということです。抗うつ薬や麻酔薬が使われることもありますが、治療法は確立されていないと言われています。
この痛みは、リハビリにも大きく影響します。こんなに痛いのですから、理学療法士が触ることがとても難しいです。痛ければ動かすのも嫌ですよね。リハビリがすすまないだけでなく、動かさないことで関節が硬くなってしまうなど良くない状態へと向くこともあります。
脳卒中を患った方の中にはこの「視床痛」に悩んでいる方がおられると思います。
薬が効かない場合、「反復経頭蓋磁気刺激」などが痛みを軽減させる可能性があるとも言われていますので、医師に相談してみてはいかがでしょうか。